サポート日記

家族のサポートで人生このまま終わるのか?疑問に思いつつも日常に追われる人のブログです。

サイキックって???

 父の手術後、伯母に「お墓参り、してきたわよ。」と言われた。
この伯母は占いに凝っていて、簡単に改名したり、家中おふだをはったり私と母は苦手としている人だ。
 父の父、私の祖父の命日が近く手術後目を覚まさない父が、祖父に呼ばれてしまうのではないかと不安だった。そこにいきなり「お墓」なんて言われて本当にドキッとした。
 
 日を追うにつれて、伯母は母にお墓にお参りしてご先祖様にお願いしてきなさい、と言ってきた。
両親は普段からお墓参りは欠かさず、入院前にももちろんお参りしている。他家に嫁いでいて実家のお墓など滅多にお参りしない伯母に言われて、少しカチンときた。

 でもあまりしつこく言うので「占いでなにかいわれたのかな?」と思い伯母に理由を尋ねてみた。

 すると、バリ在住の伯母が最も信頼するサイキックの女性に既に父の死が予言されていると言う。今はその女性のパワーで延命されている状態だと。延命を救命に変えるためには、お墓参り・・・???

 その女性の真意は「お墓参り」ではなく違うところにあったようなのだが(後からわかった)伯母が間に入ったのでただお墓参りをして、ご先祖様にお願いしなさいと言うことになってしまったようだ。
 
 私が残念に思うのは、「わかっていたのなら、何故手術前お見舞いに来たときにとめてくれなかったのか?」ということ。
 
 伯母はその信頼する女性の予言が実現するのを、心のどこかで期待していたのではないだろうか?だって止めるチャンスは何度もあったはずだから。

 私たちは、伯母の言うとおり何度もお墓参りに行った。涙ながらに祈った。お願いした。サイキックだというその女性はバリから気を送り父を救命すると言う。そしてついに死の前日、「ほぼ救命できました。にこっり笑ってくれました。」という連絡が入る。本当に本当に、心から嬉しかった。

 翌日急変。そして父の死。あのつかの間の喜びはなんだったのか?
直接そのサイキックの女性に急変の理由、どうすればいいのかを尋ねると、私たちがネガティブな考えを持ったせいだという。「ほぼ救命できていたのに、もういかせてあげなさい。」と。

 手術ミスを疑う私に「外科医のストレスを考えてみなさい。医療ミスなどではありません。」とも告げた。父の死は私たちが父に対して感謝の気持ちを持たなかったからで、今救命できてもまた同じことがおきたはず。手術のせいではないのだと。
 
 私は思う。どなたかも書いていらっしゃたが、どんな職業にもストレスはある。外科医だけが例外ではない。今まで元気に生きていた人間が一人この世からいなくなっているのだ。もし手術を受けていなかったら、いまごろ孫たちと楽しい夏休みをすごしていたはずの人間が!なぜ医師になろうと思ったのか、主治医には思い出して欲しい。決して、手技ミスをストレスのせいになどするな。自分の実力以上に自分を大きく見せようなどとしてはいけない。できないことはできないんだといって欲しかった。滅多にない症例だからやってみたかったでは済まされないのだ。

 そして、伯母にも言いたい。「あなたは弟を見殺しにしたのですか?」

 私は決して忘れない。死の間際、父が流した涙を。